「タワマン」は なぜ配達員から嫌われるのか
どうもこんにちは、きゅうです。
先日Xでタワマンの事をつぶやいたら大きな反響をいただきました。
【勝どきザ・タワー】
— きゅう@東京Uber配達員 (@QUALITY_UE) 2023年11月20日
Uber Eats配達員界隈で一番嫌われているお届け先
配達員の感想
「防災センターの場所が分かりづらい」
「警備員が高圧的」
「業務用EVが一基しか無い」(総戸数1420戸で日本一)
「住民の質がなぜか他よりも悪い」
「一度入ると20分は出てこれない」
#クソ物件オブザイヤー2023 pic.twitter.com/xoWq7P5S8K
その中で「ウーバーの仕組みってどうなってるの?」「タワマンはなんで嫌がられるの?」といった声が多く寄せられました。
そこで今回は現役配達員である僕が「Uber Eats配達員はなぜタワマンを嫌がるのか」をお話していきます。
- 「タワマン」を避けたがるのは Uberの仕組みが関係してる
- 報酬は「高さ」や「行きにくさ」は考慮されていない
- 「タワマン」は時間がかかりすぎる
- 「タワマン」は立地も最悪
- 「タワマン」は”緑おじさん”の格好の餌食に
- 稼ごうと考えると どうしても避けたい「タワマン」
「タワマン」を避けたがるのは Uberの仕組みが関係してる
Uberをはじめとしたフードデリバリーサービスは、商品を「ピック(受け取り)」してお届け先へ「ドロップ(お渡し)」するのが基本動作。1件あたり○○円という単位で仕事をしているため、いかに時間当たりの件数をこなすかが鍵となります。
Uberの報酬システムは距離がベースとなっており、そこに様々な条件が組み合わさって金額が決まっています。ただその算出方法は公開されていないため、どのようにして報酬金額が決まっているのか正確な計算式は不明ですが、時間帯、地域、配達員の稼働状況、天候などあらゆる条件で報酬金額が決まります。
いずれにしても報酬金額の基本は、配達員がピックしてからドロップするまでの「距離」がベースとなっていると考えて良いでしょう。
まずは注文が鳴ったときの画面を見ていただきましょう。
緑の丸がお店の位置、黒の丸(個人情報のため画面を加工してます)がお客様の位置です。この注文の場合、2カ所のお店でピックして、2カ所のお客様にドロップするという注文になります。(なおUber界隈ではこの注文のことを「PPDD」と言っています。(ピック、ピック、ドロップ、ドロップの略))
報酬は「高さ」や「行きにくさ」は考慮されていない
画面を見てもらうと分かりますが、注文画面の地図は「平面」です。実は報酬金額は建物の「高さ」や「広さ」は考慮されていません。「お店の階数」「防災センター経由必須」「敷地が広くお店まですごく遠い」等、建物の状況、高さ、広さは考慮されず報酬金額が設定されます。
つまり最短で件数をこなすためには注文を受ける段階で、「店舗」や「お届け先」の建物の構造まで考える必要があるのです。
そこで配達員が注文を受ける上で重要になってくるのが
「ドロップ先はタワマンか?」なのです。
「タワマン」は時間がかかりすぎる
例えばドロップ先が
・「戸建て」
・「タワマン」
どちらが「バイクから降りる▶商品を渡す▶バイクに戻る」までの時間が早いのか?
もう言うまでもありません。
報酬金額が同じなら「道路沿いの店舗」で「戸建て」へ配達するのが配達員にとって一番理想な訳です。
裏を返せば、店舗まで遠い「商業施設にある店舗」で「タワマン」への配達は最悪な組み合わせということ。だから配達員はタワマンを嫌がるわけです。
「タワマン」は立地も最悪
タワマンが嫌がる理由は他にもあります。
それは「立地」です。
都内の場合タワマンが集中しているエリアは晴海や豊洲といった「湾岸エリア」。そしてこの近くにある「Uber加盟店」の多くが「大規模な商業施設内」にあります。
配達員は湾岸エリアへ一度”越境”してしまうと「商業施設」と「タワマン」という最悪な組み合わせを何往復もすることに…
つまり報酬金額が同じなら絶対にやりたくないエリアなのです。
「タワマン」は”緑おじさん”の格好の餌食に
タワマンは一度入ると10分くらい出ることができません。
タワマンの構造は様々で、入居者と同じ導線で入ることができるタワマンもあれば、業者専用のルートでしか認められていないタワマンもあります。
そしてその中には業者が使える「業務用エレベーター」が1基しかないタワマンもあり、一度逃してしまうとかなり待たされるため「次の電車が中津行き」くらいイラッとします(笑)
さらに引越業者とかぶると最悪。荷物の搬入・搬出で使用するためエレベーターがなかなか来ず、配達員の中には「40分くらい出られなかった」という話もあります。
このような状況になったとき、一番困るのが「駐禁問題」。
バイクや軽貨物で配達している人にとって「駐車場所」は常に悩ましき問題。駐禁が重なり「免停」になってしまえば仕事が一切出来なくなる、という大きなリスクを抱えています。
タワマンによっては敷地内に停められるところもありますが「敷地内立入禁止」も結構多いです。せっかく稼ぎに来たのに「駐禁切られて売上がマイナスになった…」なんて話も界隈ではよく耳にします。
稼ごうと考えると どうしても避けたい「タワマン」
このようにUberで効率よく稼ごうと考えるとシステム上どうしてもタワマンエリアや、都内だと特に「湾岸エリア」を避けるという選択になってしまいます。
ちなみに海外では、事前にチップの金額が分かるようになっていて、注文を受ける時点でチップ込みで報酬がいくらかが分かるようなシステムもあると聞きます。
日本でも早くそのシステムが導入され、タワマンの人達にも気持ちよく使っていただけるようなサービスになるよう願っております。